2月27日 朝

近所の銭湯でサウナ室、水風呂、外気浴の無限ループを繰り返していると、そのうち、常連と思しき地元客がぽつぽつと集まりだした。外気浴中にすっかりサウナ室を占領されてしまったが、スチームサウナにはまだ余裕があり、そちらでもうワンセッションととのうことにした。ただ、スチームにもそろそろ飽きてきて、広々としている隣のサウナ室のほうが気になってはいた。サウナ室から退室するひとを小窓から確認すると、急いで移動する。上段の席を確保。下段には例のすっぽんぽん入れ墨男がいた。そのすっぽんぽん以外は全員がバスタオルを腰に巻いている。こうなると、タオルを頭に巻き、下半身を露出する男の存在がますます異様に映るのだった。上段のはじっこに位置する隣人がもぞもぞしだしたというか、おそらく出たがっているのではないだろうかと察したので、伸ばしていた足をひっこめ、あぐらをかく形に変えようとした瞬間、前席のひとの背中を足の親指の爪でひっかいてしまった。あ、と気づいたときには遅く、ヌシ風の禿頭男性が振り返り、ギロリと睨まれた気がした。すみません、と小さく謝った。すると、はじっこの隣人がいそいそと腰を持ち上げ、サウナ室を出て行った、とほぼ同時にまたひとり入室。もちろん、腰にバスタオルを巻いている。サウナ室は再び満席。常連のようだが、誰一人ひとことも声を発しない。音のないテレビを眺め、じっくり蒸されていると、下段のすっぽんぽんがとうとう席を立った。静かにサウナ室から出ていくと、すぐに水風呂のかけ水をしている音が聞こえた。その瞬間だった。「あいつ、アホちゃうか」前列の禿頭ヌシ風が発言したのを皮切りに罵声が飛び交ったのだった。明日に続く。

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