1月29日 朝

喉の痛みが微かにやわらぐと、今度は歯茎が腫れた。ベイベ、ベイベ、こんなことってあるのかい?道化師になった気分だ。道化師ってなんだろう。左の歯茎が痛くて噛めない。熱が出て食欲がなかった。呑みこめなくて食べることが苦痛だった。今は噛めなくて食べるのが苦痛だ。仕方ないのでプロテインとサプリに頼って、なんとか体調をキープしている。昨日は二日ぶりにジムで走った。軽く筋トレもこなした。病み上がりだからかボーっとして集中力が続かない。それでも20分は走って汗をかくことができたので結果よしとしよう。そんななかにあって、熱で朦朧としているときも酒だけは欠かさなかった。当然、量は減るのだが、飲んでいるという事実を以て病魔を凌駕しているという感覚が好きなのだ。味はしないのだけど。こういうときのなぐさめはやはり絵だろうと先日のメトロポリタン美術館展の目録を引っ張り出してきて、ひとり悦に浸っていたりする。今度は東京六本木に場所を移し、来月2月9日から公開と相成るわけであるが、今、思い出しても至福のひとときだった。感染爆発の東京都、しかも六本木という日本有数の繁華街で開催されるわけだけれど、見に行く人は見に行くのだろうなあと遠い目。わずか3か月か4か月足らずの公開期間。おりこうさんはまんぼうが明けてからゆっくり見に行こう、そうだ、ゴールデンウィークを利用してもいい、家族みんなで絵画に親しもう、そうだ、そうだ、とキャッキャと喜び合う様子が雲の上から見て取れる。果たして物事はそんなに簡単なものだろうか。そんなに世の中、大あまなのか。もしかしたらまんぼうは明けないかもしれない。延長するかもしれない。あるいは感染がさらに急拡大して緊急事態宣言が発出されるかもしれない。入場制限を考えると、ゴールデンウィーク中の混雑も避けなければならない。絵を見に行く最適な日なんてないのかもしれないが、2月から5月終わりまで。美術館に行く時期としては最高かもしれない。これだけを見に東京に出かけるのは酔狂だろうか。とわが身に問うが、酔狂がきわまってボッティチェリの絵が52億円で落札された。作品は「悲しみの人」キリストは実在したのだと敬虔な信者であれば号泣したくなる絵だ。ボッティチェリといえば、いつもサイゼリヤで眺めている。これでも30万ぐらいはするのだろうなあと思いながら眺めている。52億円の絵というものがどのようなものか。ここまでくると、カネは本当に道具だということを実感する。おカネを超越した世界があるのだ。

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