10月30日 早朝
昨日、たまたま巨人の星を観たら最終回だった。朝の7時からやっているのは知っていたし、たまに観ることもあるし、けっこうおもろいし、って感じで観ていたら、あれ、これ最終回ちゃうかとおもって番組表を確認すると、ほんまに最終回だった。巨人の星の最終回を観るのは初めてのことで何気に興奮してしまった。ラストの展開がすばらしかった。パーフェクトゲームのかかる最後の打者にピンチヒッターの名が告げられる。打席に入ったのはかつての盟友、中日に移籍した伴宙太だった。飛雄馬の投じた大リーグボール三号を伴はレフト線にひっぱる。打球は転がり、レフトの横をぬける。ライトかもしれないし、センターかもしれないが、とにかく打球は守備の横をぬける。悲鳴が上がる。解説が叫ぶ。「パーフェクトならず!!!」誰もがそう思った瞬間、ファーストベースに向かう伴の姿が。逆立ち練習によって、朦朧とした足取り。よろよろと歩く速度でベースに向かう伴。ボールが戻ってくる。伴もなんとかベースにたどり着こうとする。ボールが先か。ランナーが先か。ボールがファーストミットに収まる。伴もヘッドスライディングでベースタッチを決める。判定は「アウトおおぉ!」ゲームセット。パーフェクトゲーム達成。しかし、飛雄馬ももう限界だった。ひとりで立ち上がることもできず、ピッチャーマウンドに倒れこむ飛雄馬。そこに駆け寄ったのは中日の監督。星一徹だった。「父ちゃん」一徹は答える。おまえはとうとう巨人の星になった。これから歩むおまえの人生は野球とともにあるだろう、とかなんとかいう。飛雄馬を背負ってベンチに向かうその姿に球場全体からわきおこる拍手の嵐。そのなかには花形の姿があった。左門の姿もある。ねえちゃんもいる。おーもーいーこんだーあら、しれんのーみーちーをー。テーマソング「いけいけ飛雄馬」が流れる。失礼。「行け行け飛雄馬」が流れる。この曲の二番の歌詞を聴いたのも初めてだった。終わった。すべてが終わった。最終回にはちょうさんがいた。わんちゃんもいた。巨人軍のレジェンド。その中心には飛雄馬がいる。物語が終わったあと、主要出演者全員が球場に並んだ。真ん中に立つ飛雄馬がいう。「3年半の長きにわたる放送。本当にありがとうございました」3年半。いまでは考えられない長期放映アニメ。それが巨人の星だったのだ。おそらくこの頃に少年期を過ごしたひとたちは皆、このアニメを観て、野球に親しみ、巨人の星を目指したのだとおもう。血の汗ながせ、涙をふくな。ド根性。近頃、すっかり聞かれなくなった言葉が身に染みる。
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