8月9日 朝

ネットの誹謗中傷がいまほど注目を浴びた時期が過去、あっただろうか。もちろん中傷と受け止める側からの改善を求める声は何度もあがっていたとはおもうが、表現の自由の問題もあり、その都度、先送りされ、真剣な議論が重ねられてきたとはいえないだろう。ここにきて総務省が動いた。今月中にも匿名の投稿者を早期に特定する省令が改正される。この早急な対応には例のフジテレビの番組が深くからむ。若年層の日常が世間的にも広がりをみせ、SNSを中心にはびこる応酬劇が論争の対象となった。この現象はインターネットの普及率からSNSの活用率へデータがシフトしたことを物語る。指標がGNPからGDPに変わったようなものだが、単純に情報発信の裾野が広がったのだ。享受する側から消費される側へ。ただ、ネット聡明期から2020年の現在まで罵詈雑言の文化は絶えず繰り返されてきていて、落書きだった匿名同士のやりとりがいつしか確固としたビジュアルを持ち出したのが、おそらく2010年ごろぐらいからではないだろうか。リア充やらスクールカーストなどの言葉が跋扈し始め、PCからモバイルへと主流が移行した頃。時代の急速な変化がようやく世間一般のスタンダードだと認知された時期。経営学ではおもに4つの分野を学ぶのだけれど、そのなかのひとつマーケティングにイノベーター理論というものがある。これは超超有名な理論なので知っているひともおおいとおもう。新しい商品が世の中に登場する。最初に飛び付くのがイノベーター。あと、詳細は割愛するが、二番目がアーリーアダプター。三番目がアーリーマジョリティ。ここまでが比較的早くネットの世界観に浸かった層。年代でいうと2000年代半ばぐらいにBBSを利用していた連中ということになる。4番目がレイトマジョリティ。そして、最後にラガード。日本語では遅滞層と訳されるこの層がネット文化に参入してきたことでネットの発言が一気に社会性を帯びるようになる。テクノロジーの進化もこれに拍車をかけた。ネットの社交場がSNSを中心としたものに変化し、そのなかでまた新たなイノベーター理論が展開する。ここで主軸となるのが、アーリーアダプターであり、マーケティングでもっとも重要なのが、この層の存在と位置づけられている。誹謗中傷のやり玉に挙げられるのもこの層がもっとも多く、話題性もあり、影響力も強い。一般にインフルエンサーとも呼ばれる層。ここでの本質となるのが、この層の思考力であって、影響力と必ずしも比例しないところに大いなる火だねがひそんでいる。SNSの利用率をみると、2019年の総務省調べでやはり20代がもっとも多く、続いて30代、10代へと続く。40代からは軒並み下がっていくのだけれど、ITリテラシーもこの年代とやらには比例しない。60代の炎上もある。80代の炎上も見たことがある。ネットの誹謗中傷については自身も配信を続けているのでたまにある。無視する。ひどければ訴える。これしかないという結論に落ち着いた。

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