10月30日 朝
今朝の朝日新聞、毎日新聞の両紙の一面をメルケル氏の写真が飾った。まず朝日の写真。前を見据えているが力はなく、がっかりした様子が見て取れる。毎日の写真。うつむいて伏目がちの表情にこちらも往年の力はない。日経と産経が電子版で同じ写真。唇を固く結び、閉じられた目には労苦がにじんでいる。それにしても老けたなあという印象。読売だけがかつてのメルケル氏を想起させる写真を持ってきた。書いている内容はほぼ同じで特段、目を惹く点はない。さすがのドイツ人も目を覚ますには格別の数年だったというところか。ブラジルでは南米のトランプといわれる右派のボルソナロ氏が勝利した。こちらも2003年から続くリベラル政治に嫌気が差した結果というべきか。米国でも中間選挙をあと8日ほどに控え、各社が予想得票率を算出している。中間選挙は現政権の批判票が集まりやすい傾向にあるとして、多くは上院下院のねじれを予測する。はたして地の底に落ちたメディアの信頼度にどの程度まで関心を寄せるべきか。最近の大手メディアに期待すべき点はさほどない。フェイクニュースという自らへの批判を巧妙にかわし、ライオンが逃げたとか、ありきたりの嘘に論法をすり替えようとしている。本来、フェイクニュースという語感には印象操作や世論誘導などのアジテートに対する批判を含んでいた。ライオンやシマウマが逃げた等の流布は単純なデマゴギーに過ぎない。こんなものはスポーツ新聞やタブロイド紙の延長に過ぎず、公平性の観点など見る向きもない。しかし、写真は多くを語る。ライオンに関しては注意深く見れば日本の風景ではないことがわかる。南京事件の写真を検証するという本がかつてベストセラーと化したが、検証されたおおもとの写真は嘘にまみれていた。キャプションを変え、関連事件に紐づけるように曲解、歪曲、ねつ造のオンパレードだった。今回、たまたまメルケル氏の写真に言及して感じたことは、やはり印象操作へ対する一貫した憎悪だ。朝日サンゴ礁事件への根深い厭悪もある。KYを空気が読めないと巧妙にすり替えようとしたあの年。じゃあ空気読めるもKYだろうと多くの人間が呆れたあの時。写真は多くを物語るが嘘もつく。これを忘れてはならない。
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