11月13日 午前中

TPP合意内容に関する詳細を精査してみる。まず顔ぶれは日本、ブルネイ、マレーシア、シンガポール、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランド、チリ、ペルー、メキシコ、カナダの11カ国。米国を除いてもGDP規模は全世界の13パーセントにおよび、域内人口は6.7パーセントを占める。当初、60項目あった凍結案は最終的に米国の復帰を鑑みたうえで20項目と縮まった。ベトナムと共に共同議長を務める日本が各国に譲歩を迫った形だ。これほどリーダーシップを発揮できた背景には無論、域内GDPトップという発言力の強さもあるが、やはり長期安定政権の絶好の外交バランスによる利点が大きい。民主、自民も含め、過去の短命内閣ではこうもすんなり主導権を得ることはできなかっただろう。署名に向けて文言を整備したのち、2019年に発効する運びとなる。庶民にとっての関心事として具体的には、コメ、牛肉、豚肉、チーズ、バター等の乳製品が安くなる。日本のチーズ価格は高すぎるので、チーズとワインの相性をこよなく愛するものにとっては、ひときわ朗報といえる。日本からの主要項目としては当然、工業製品の関税撤廃がメインとなる。そのほか、電子商取引や知的財産に関する項目もあり、特に対アジアで日本は恩恵を受けることになるだろう。今回の参加国で気になった国がひとつある。ブルネイだ。一応、ASEAN加盟国の一国だが、さほどの印象がない。しかし、実は日本との結びつきは深く、日本からの移民者数も多い。天然ガスを通じて両国は良好な関係を築いており、ブルネイが輸出する天然ガスの90パーセントは日本向けだ。国土は三重県とほぼ同じ大きさで人口は40万人弱に過ぎない国だが、東南アジアではシンガポールに次ぐ経済水準を誇り、ひじょうに豊かな資源大国といえる。しかも相当な親日国だ。ブルネイ国民であれば基本的に医療費、所得税は無料というのもすごい。米国ばかりを向きがちだが、こうした、失礼ながら影の薄い国家との連携もTPP11の成果といえる。課題は多くて当然。これからが本腰といえる。日はまた昇る。

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