3月3日 朝

三月三日のひなまつりといえば、主役はなんといってもちらし寿司。ちらし寿司には何が必要か。愛情、いるでしょう。彩り、必要でしょう。酢、必須でしょう。ただ、なんといっても、ひなまつりの主役がちらし寿司のようにちらし寿司の主人公はごはんであって、ごはんの元であり、コメがねえ、コメ、飯のもと、と長渕ふんする英二が叫んだように、コメがなければ、はじまらない。文字通りひなまつりがはじまらない。高田渡が銭がなけりゃよと歌った日からずいぶん時は流れたが、コメが先か、銭が先かと問われれば、当然、銭が先なのだけれど、そんなことすら忘れてしまうくらい、コメがなけりゃよ、と歌いたくなるご時世がやってくるなど、平成5年のあの日から誰が予想しただろうか。米櫃の底が見えてきた時の気持ちといったら。たそがれ清兵衛のワンシーンを思い出しながら、コメをそっと掬うとあと二食分ぐらいかなあと推量することができた。掬ってみたが、救いはない。コメにこだわると書いて掬うですか。攻撃を求めると書いて救うですか。攻撃するですか、と今日もショッピングサイトをうろちょろしていると、なんと農家直売の玄米を見つけた。10キロ5570円。どうせ、販売前とか、わけありとか、売り切れとか、見せかけとか、おとりとか、からかいとかそんな類だろうとレジに進むと購入できてしまった。農家直売。これからのキーワードのひとつ。間にはさむと金がかさむ。これはあらゆる取引において、正当な評価となりうる。先日、さほど売る気はなかったのだが、新品の箱付きスニーカー定価7590円を査定のつもりで某リユースショップに持ち込んだ。どれぐらい値がつくのだろうか。新品箱付き、Amazonから届いて一回も履いていないのだから、まあ5000円以上はつくだろうと思っていた。とんでもでべそだった。査定価格480円。ご丁寧に80円は割増料金との表記もあった。あっけにとられるとはあの瞬間を指すのかもしれない。あっけにとられた。480円で買い取り、いくらで販売するつもりなのだろう。売りたい人と、本当にほしい人。直接、やり取りする機会が増えてきた。