10月31日 朝

10月も今日で終わり。ということはハロウィン。渋谷と難波で大暴れ、と思いきや、今年は趣が違うようで、閉業、あるいは時短営業をする店が多く、問題行動を徹底的に排除する姿勢が見て取れる。路上飲酒ももちろん禁止。罰則規定はないが、困るのはトイレ。外で酒を飲むときに最も考慮するのがトイレというひとにとって店が開いていないのは困る。そもそも酒を飲みたいのか、仮装をしたいのか、と二択を迫るひともいるかもしれないが、仮想をして酒を飲んで騒ぎたいだけというのが本音の人間には愚問にしか聞こえないはずで、渋谷がだめならどこで騒ごうかぐらいの認識なのかもしれない。翻って、金を払って騒げば、という新たな展開もあり、お台場では一か月を通じて、ハロウィンイベントが開催される。没入型テーマパークということだが、イベント期間中は更衣室もあって、チケットも2000円ほど安い。ん、とおもったひと。2000円安くなる?元値がいくらかというと、デイパス大人6800円。それが期間中4800円。ストロングチューハイを飲んで軽トラをひっくり返すような連中が果たしてこの価格を支払い、イベントを楽しむかというと甚だ疑わしい。ハロウィンの聖地を目指すということだが、クリスマスに聖地がないようにきっと今年ですたれることだろう。しかしながら、こうした取り組みは無意味なわけでもなく、昨年、隣国の繁華街で起きた雑踏事故が記憶に新しいように、管理できない混乱がもたらす最悪の混雑は減っていく流れになるかもしれない。上海でもコスプレ取り締まり、という記事を見つけ、こんなに広がりを見せているのか、と驚いたが、こういうところからでもギャップの変化が見て取れる。カルチャーギャップよりもジェネレーションギャップ。世界がより認識を深めたように日本でも都道府県の垣根がどんどん低くなっている気がする。難波の取り組みはどうなのだろうか。例年どおりのような気がしないでもない。出かける予定もないし、明日のニュースを眺めよう。

10月30日 朝

今日、勝てば、ワールドシリーズ優勝。敵地、ヤンキースタジアムでホームランをかっとばす大谷さんが観たい。昨日同様、午前中はテレビ観戦をしながらトレッドミルで終了ということになりそう。選挙も終わって、ふたを開けてみれば、与党で過半数割れ。想像はしていたが、公明がここまで失速するとは。ざまあみろとしかいえない。公明も共産も支持者が高齢化しているということだが、れいわがその受け皿になっているのかも。維新はわが選挙区を含め、大阪全勝だが、全国では五議席減らし、存在感がますます薄くなった印象。立民、国民民主が大幅増。日本をなめるなの参政党は1議席から3議席。日本保守党も3議席。見事、としか言いようのない選挙結果。移り行く日本、移り行く私、という感じだが、移り行くといえば、犯罪もテレグラムからシグナルへという今朝の話題。ジャーナリストがエックスから闇バイトに応募して。みたいないつものやり方だが、リクルーターの男とのやり取りがおもしろかった。この、おもしろかった、というのは今も昔も変わらないおもしろさであり、一日一万円で消火器を売るバイトと発想はあまり変わらない。事務移転の派遣バイトをしていたとき、そんな話をしていたガキがいた。日給一万円。もう応募しても遅いよー、もうないよー、と選ばれしバイト戦士のような趣だったが、いまだにこんなのに引っかかる馬鹿がいるんだ、馬鹿だからおれを含めてこんな派遣バイトをしているんだ、早く抜け出さねば、と努力を重ねたものだった。水商売のバイト戦士にもいた。時給2000円に釣られて、飛び込んでくる大学生。その後、トラブル多発で一般のバイト雑誌に掲載はできなくなったが、あのときの大学生たちも馬鹿の見本市だった。移り行く日本だが、ヘアスタイルが変わっただけ、みたいな。生えてくるのは黒髪でした、みたいな。

10月29日 朝

映画メニューを観て、ひさしぶりにバベットの晩餐会を観たくなった。アマゾンプライムを探すとあった。これは観なければ。観た。何度、鑑賞してもいい映画。舞台はデンマークのユトランド。こんなに寂しい背景があるのか、ってぐらい、寂しい海辺の街で、日本でいうと、羅臼町のような雰囲気の漁村。空は重い灰色の雲が立ち込め、映像からも伝わってくるような冷たい海風が吹きすさんでいる。住人は年老いた敬虔なカトリックの信者ばかり。この小さな漁村で美しいふたりの姉妹が暮らしていた。姉妹を見るために近隣の若者がわざわざやってくるようなそんなふたりだが、紆余曲折があって、物語は後半に移る。すっかり年老いた姉妹のもとにパリコミューンですべてを失ったバベットが訪れる。全編、寂しくも美しい映像と音楽、そして、度肝を抜く当時のフランス料理の最高峰と呼べる数々のメニューが花を添える。食事を恋愛に変えることのできる女性。そうパリのグルメたちにいわしめたバベットは高級レストラン、カフェアングレの女性シェフだった。美しいが、その通奏低音には取り返しのつかない過去への執着、さらに若さを失った現実がひとときも欠かすことなく流れ続けている。1987年にデンマークで公開された映画だが、なぜ、この映画の存在を知ったかというと、よくあるグルメ雑学本で知った。とにかく出てくる料理がすごいと絶賛していたのだった。そのときの記憶がずっと頭のなかに眠っていた。それから数十年、経って、はじめてこの映画を観たとき、期待していたような印象とはまるで違った。ただ、この作品の大ファンになった。カフェアングレの12人分の食事代は1万フラン。現代に換算すると、1千万ぐらいだという。人はおカネに隷属してはいけない。おカネは芸術の奉仕者でなければならない。何百万も払ってワールドシリーズを観戦することも結句、同じよう価値観なのかもしれないがアマゾンプライムで楽しむ芸術というのもあってもよいのではないかと。芸術の秋、スポーツの秋、食欲の秋、読書の秋。今日も秋を満喫するのでした。