3月17日 朝

サライの朝めし自慢が終わった。創刊から続けられてきた人気企画がなぜこの時期に急に終わったのか。予告はあったのだろうか。たまたま立ち読みで知った。見開いたページに最終回の文字を見つけた。なぜだ。なぜなんだ。きっと、卒業シーズンだからだろう。というわけで、ウェブサイトでは1月号に載った開高悦子氏の朝食メニューを今現在、見ることができる。あと、二か月分は見ることができるのかもしれない。開高悦子さんが何者かというと、開高健氏の奥さんではなく、肩書は3dピクチャー作家とある。3dピクチャー作家、果たして何者か、ということは、こと朝めし自慢においては、さほど関係ない。有名、無名、問わず、高齢者であれば、肩書はさまざまなのが特徴。開高氏の朝ごはんは絵にかいたような和食なのだが、冊子にまとめられたものは前半部がごはん食のひと、後半部がパン食のひとで構成されている。開高氏のこの日のメニューは玄米に小豆を混ぜたものを主食に、しじみの味噌汁、切り干し大根、漬物、だし巻き卵、納豆、小鮎の甘露煮、ヨーグルト、甘酒というラインナップ。典型的なごはんのひと。今まで見てきた健康食材のなかで、欠けているのはごまぐらいか。健康長寿のひとになんとなく共通する一品を挙げると、小魚、ごま、ヨーグルト、納豆が定番の気がする。魚ではなく、頭から丸ごと食べることができる小魚という印象が強い。ししゃもであったり、めざし、煮干しであったり。サラメシよりも朝めしのほうがそのひとの個性を垣間見るような気がするのはおそらく自分でまかなうことが多いから、かもしれない。台湾のように朝食も外食というのが一般的であれば、それほど、ひとんちの食卓を覗いた気にはならない。年齢を重ねるにつれ、食事のボリュームが夕食から朝食へと移り変わっていくさまは日本人に共通するものかもしれないし、当然、例外もあるし、いくつになっても夕食で揚げ物を食らうという高齢者もなかにはいるが、朝食がのどを通らなくなるようでは人生の終焉も近いのだろうなという気も近頃はする。せめて、ヨーグルトをいただきましょう。ついでに納豆も混ぜましょう。サラダもボールでかっこきましょう。玄米にビタヴァレーにオートミール。卵に魚に肉にとうふ。終焉の兆候はまだないようだ。