3月14日 朝

大阪春場所がはじまって、今日で五日目。例年であれば、必ずといっていいほど、この時期は大阪府立体育館に出かけたものだったが、果たして今年はどうか。別に取り組みを見るわけでもなく、みやげものを買うのでもないが、ただでさえ、雑多な難波の景色がこの季節特有の原色に彩られるのが好きで、体育館を埋め尽くす色鮮やかなのぼりに春の風情を感じるのだった。なんばの隣の街に住んでいたころはもう例外なく、毎日のように周辺を散策し、街のいたるところを練り歩くお相撲さんの姿を眺めたものだった。スーツを着た小錦が意外に小柄で拍子抜けしたり、朝青龍が気さくだったり、幕下でまだ無名だった力士がその後、幕内で大暴れしたりと些細な記憶でもこれはもう立派な思い出でもあった。春場所の続く二週間は心が躍る。夕方になると、つい一杯ひっかけたくなる。いつまでこのような感情が継続するか知りようもないが、今年もやはり浮き立つものがある。府立体育館の近くに住んでいたころとの明確な違いはインターネットの普及、およびモバイル機器の発達だろう。今年はユーチューブで初日の出待ち映像を見た。いつも二子山チャンネルで観ている若いお相撲さんたちがなんばまで電車通勤している光景はなごむ。宿舎が尼崎か西宮あたりだったと思うので、乗り換えは必須かもしれないが、新しい路線もできているし、もうよくわからない。お相撲さんのほとんどは後援会の人間が車を出してくれているようだが、おそらくそういった待遇はロウガ関ぐらいだろうか。ロウガ関に次ぐ、幕下5枚目のナバタメも電車通勤の模様が映っていた。星取表を確認したが、いまだ黒星なし。今場所、勝ち越すと、ロウガに引き続き、二子山部屋ふたりめの関取となりそうだ。こちらも目が離せない。春場所が終わると、いよいよ球春がやってくる。メジャーの開幕が楽しみだ。