3月12日 朝
衝撃のニュースが奔った。「イカナゴ漁解禁1日で終了」各地に春を告げる風物詩は数あれど、関西ではイカナゴのくぎ煮を食べて春を迎えるのが定番。家庭ごとに味付けに一家言を持つ料理人が存在する。そんな春の風物詩にあって、絶対に欠かせないイカナゴ漁が記録的不漁とは。さんま、するめいかに引き続き、イカナゴお前もか、と嘆かずにはいられない。2月半ばにタンクトップの日があったり、3月9日に雪が降ったりと気候変動も関係するのだろうが、環境汚染も原因と聞くし、20年後か、30年後、日本の食卓も様変わりするかもしれない。イカナゴのくぎ煮、そんな料理もありましたなあ、懐かしいですなあ、よく給食にでましたなあ、とクジラの竜田揚げのような存在になるのかも。くぎ煮はあったかごはんにも最適だが、おすすめはなんといっても、おかゆにまぶして食べるのが最高だ。かつて、アースマラソンに挑んだ間寛平氏も地球のどこかで、おかゆにくぎ煮をこれでもかと載せ、頬張っていた。その映像があまりにおいしそうだった。それまで甘辛く炊いたくぎ煮を好んで食べることはなかったが、この時を機におかゆにくぎ煮というビジュアルがすっかりインプットされてしまったのだった。イカナゴの不漁。こちらも物価高の一因を担う世知辛い現実なのだった。昨今、街をぶらつくたびに物価高を実感するが、先日、行った焼き肉屋では値段が上がり、品質は下がるというとんでもでべそな状況に憤慨したものだが、これも時代の要請とあきらめて、これでもかと小さくなった厚切り豚たんは焼けば焼くほど縮んでいくのだった。ころもまみれのてんぷらを食べたいと歌ったのは遠藤ミチロウだが、イカナゴのくぎ煮を食べたいというのが今の心境だ。