2月29日 朝

29日があってよかった。肉の日、服の日、お多福の日。明日から三月。まだまだ値上げラッシュが続く。日清オイリオも三月からではないが、オリーブオイルを値上げすることを発表した。近所の業務スーパーで買っていた一キロ598円のオリーブオイルがいまでは1000円超え。もちろん、もう買うことはない。スーパーのオリーブオイルが高いとき、代替案としてAmazonのガルシアオリーブオイルを利用していたが、こちらも値上げがとどまることはなく、たぶん買わない。コストコも安くはないし。一応、予備がもう一本あるので、使い切ってから考えることにしよう。サイゼリヤの販売用オリーブオイルも850円から1200円に値上げする。粉チーズに引き続き、オイルよお前もか、という気分で記事をスクロールしたが、どうやら店内提供は変わらない模様。まずは胸をなでおろす。値上げとともに春の新メニューも発表された。真っ黒イカ墨スパゲティがなくなり、セピアソースが登場。これは朗報か悲報かファンじゃないのでよくわからない。ほかにはイタリア野菜のトマトスパゲティ、きのことほうれん草のクリームスパゲティが新メニューに加わる。エビとたらこのクリームグラタン、ペンネアラビアータが全粒粉でマイナーチェンジ。エビとたらこのドリアを気に入っていたのだけれど、もしかすると、ひょっとすると、おそらく、ま、ちょっと覚悟はしておけという感じかも。今日あたり、ひさしぶりにサイゼリヤに行こうか。何を頼もうと、もちろん、オリーブオイルをたっぷりね。ペペロンチーノをオリーブオイルにつけて、ざるそばのようにすするという行為は果たして是か非は置いといて、サイゼリヤのオリーブオイルはとにかくフレッシュで、勢いづいてすすりこむと器官がむせる。むせた喉に冷えたワインを流し込む。あの瞬間も一種の快楽だな。

2月28日 朝

例年であれば今日で二月も終わり。今年はうるう年というわけで、米国大統領選があったり、オリンピックがあったりとにぎやかな年になりそうだが、そんなものはどこ吹く風で今日もサウナでととのうのだった。近所の銭湯でバスタオルを腰に巻かずに蒸されている男がいた。男の前腕には刺青があった。以下、彼を前腕刺青男と呼ぶことにする。サウナ室の入り口には「サウナを利用する際はバスタオルの着用をお願いします」という注意書きがあるにもかかわらず、なにゆえ、この男は下半身を露出しているのか。当初は慣習が変わったのかもしれない、とローカルルールビギナーサウナーは理解したのだが、一応、ルールなので、しっかりと腰に貸しバスタオルを巻き、サウナ室を利用した。違った。ルールは今も生きていた。最初、少人数の銭湯もそのうち、常連客がぽつぽつと集まりだし、やがてサウナ室も満席となった。常連客がサウナ室を埋め尽くすと、バスタオルを腰に巻いていないのは前腕入れ墨男ひとりということが判明したのだ。下段、左隅、入り口付近に位置する前腕入れ墨男はうつむき加減に目を閉じ、じっと蒸されている。常連客も寡黙だ。そして、そのときはやってきた。前腕がサウナ室をあとにすると、すぐに罵声合戦がはじまったのだった。あいつあほちゃうか。字い読まれへんのかな。書いたあるやろがい。だいたい上から目線やねん。男が立ち去ったとたん、打って変わって騒々しいサウナ室。よかったあ、バスタオル巻いといて。安堵した瞬間なのだった。十分に蒸しあがり、サウナ室から水風呂へ。女は陰湿な陰口が得意と聞くが、男にとってもそれは蜜の味なのかもしれず、そういった過去の場面が脳裏にちらちらと浮かぶ。今日はととのいそうにない。早々にあきらめ、ジェットバスを楽しんだのでした。

2月27日 朝

近所の銭湯でサウナ室、水風呂、外気浴の無限ループを繰り返していると、そのうち、常連と思しき地元客がぽつぽつと集まりだした。外気浴中にすっかりサウナ室を占領されてしまったが、スチームサウナにはまだ余裕があり、そちらでもうワンセッションととのうことにした。ただ、スチームにもそろそろ飽きてきて、広々としている隣のサウナ室のほうが気になってはいた。サウナ室から退室するひとを小窓から確認すると、急いで移動する。上段の席を確保。下段には例のすっぽんぽん入れ墨男がいた。そのすっぽんぽん以外は全員がバスタオルを腰に巻いている。こうなると、タオルを頭に巻き、下半身を露出する男の存在がますます異様に映るのだった。上段のはじっこに位置する隣人がもぞもぞしだしたというか、おそらく出たがっているのではないだろうかと察したので、伸ばしていた足をひっこめ、あぐらをかく形に変えようとした瞬間、前席のひとの背中を足の親指の爪でひっかいてしまった。あ、と気づいたときには遅く、ヌシ風の禿頭男性が振り返り、ギロリと睨まれた気がした。すみません、と小さく謝った。すると、はじっこの隣人がいそいそと腰を持ち上げ、サウナ室を出て行った、とほぼ同時にまたひとり入室。もちろん、腰にバスタオルを巻いている。サウナ室は再び満席。常連のようだが、誰一人ひとことも声を発しない。音のないテレビを眺め、じっくり蒸されていると、下段のすっぽんぽんがとうとう席を立った。静かにサウナ室から出ていくと、すぐに水風呂のかけ水をしている音が聞こえた。その瞬間だった。「あいつ、アホちゃうか」前列の禿頭ヌシ風が発言したのを皮切りに罵声が飛び交ったのだった。明日に続く。