9月20日 朝
三連休の最後は奈良に行ってきた。暑さおさまらず、かといって夏の日差しには程遠く、午前中の早い時間であれば、風が心地よく感じるような、そんな陽気だった。三条通りを奈良公園まで歩き、興福寺とシカさんを見てきた。猿沢池では提灯の飾り付けをしており、所どころで、うねめ祭りの準備がはじまっていた。うねめ祭りてなんじゃい、というと、とても色気のある祭りというか、ほかの秋祭りが五穀豊穣を願ったものがほとんどのなか、こちらはうねめの霊を鎮めるおごそかな催し。概要から説明すると、猿沢池のスターバックスの隣に鳥居を背にした采女神社があり、毎年、中秋の名月の日にここで采女祭りが行われる。なぜかというと、うねめとは宮中で天皇、皇后に仕え、身の回りの世話をするひとで、そのなかのひとりにとても美しいうねめがいた。奈良時代、帝に寵愛を受けていたが、その愛が失われたことを嘆き、猿沢池に身を投げてしまった。かわいそうに思った帝は人々に歌を詠ませた。そののち、うねめの霊を鎮めるために池のほとりに社が建てられたが、うねめは池を見るのが忍びなく、社を後ろ向きにしてしまったというわけで、その伝説を元に繰り広げられるのが采女まつり。わかったようなわからないような説明だが、当の本人が聞きかじりなので、拙ない解釈になるのは致し方なく、それでもこの祭りを知ることができたのは今回の旅行の収穫ではあった。平城京の祭りでも思ったが、京都と違い、仮装がもっと古いというか、奈良時代ならではの天平衣装の色彩が美しく、写真を見るだけで幻想的に胸に迫ってくる。開催日は28日、29日ということで、見に行くことはできないが、現代的にsnsや動画ライブを通じて、体感する予定。