9月11日 朝

ボディビルダーの食事風景の動画がおもしろい。突出しておもしろいのはマッスル北村氏のもので、おもえば、もう10数年まえにこの動画に出会ったのだった。「鳥の刺身、ささみじゃなくて、刺身」卵十個にプロテイン3スクープの特性プロテインジュース。冷凍の鶏ささみのジュース。この動画に影響を受けたわけでもないが、卵に関しての負のイメージは完全に取り払われた。昨今の卵の高騰を受けて、なかなかむやみ乱暴に食すことはできないが、ホテルに泊まった際などは朝食ビュッフェで爆食いをすることもある。茶碗一杯に卵三つを載せた卵かけご飯。カレーに卵三個。スクランブルエッグを載せたサラダでべジファースト。ゆで卵三つとブロッコリー。だし巻きがある。これもいっとこう。という感じで、気づけば朝食だけで20個ぐらいは卵を食べている計算となる。食生活に関しては、マッスル北村氏の時代と今では隔世の感がある。栄養学やサプリも日進月歩で日々、情報が更新される。動画投稿サイトやsnsといったメディアによってその情報もすぐに拡散される。果たして、もし、マッスル北村氏がこの時代に生きていたならば、同じような食生活をしただろうか。知性と好奇心の塊のような氏のふるまいを動画の文脈から類推すると、行動様式の更新は必須だったかもしれない。ただ、卵とプロテインという二大要素はいまも続けている気がしてならない。マッスル北村氏に思いをはせ、ゆで卵をかじるとき、ふいにブコウスキーのあの一節が頭をよぎるのだった。ゆで卵にパプリカパウダーをかけ、かじる。マーラーを聞きながらシェードを下した部屋でコールドターキーを飲む。これが私のしたいことだった。マッスル北村とブコウスキー。共通するのはお互いにパラノイアだったこと。惹かれる理由もそこにあるのかもしれない。