9月30日 朝

西向く侍。9月も今日で終わり。昨夜は中秋の名月ということで、ベランダから、あるいは窓から月を探すが見当たらなかった。きっと、煌々と世間を照らしていたことだろう。昔のひとは月のない夜でも空に浮かぶ月を想像して観月会を開くという風流なことをやっていたというが、こうした慣わしが広まったのは平安時代。最初は貴族を中心に酒を飲みながら歌を詠むといった楽しみが流行した。お月見が庶民の間にまで広がりを見せるのが江戸時代に入ってからで、酒を飲んで楽しむというよりは五穀豊穣に感謝する秋の行事という意味合いが強かったそう。お月見といえば、団子にすすきに栗、サトイモというイメージがあるが、個人的にまっさきに思い浮かぶ食べ物といえば、月見うどんであって、月見と聞くと、たまごを思い浮かべる。それで、先日、ほか弁の店先に貼ってあったポスターに月見天丼というものを見かけた。ゆで卵がふたつ、おそらくたまごの天ぷらと思われるが、それが特色のようだった。気になったので帰ってから調べると、海老天二尾、ちくわ磯辺、なす、マイタケ、かきあげ、そしてたまご天が載ったボリュームの一品であることが判明した。秋のファストフード風物詩、月見バーガーに月見天丼が加わった瞬間だった。さて、月に吸い寄せられ、人々が集うように明りを求めてどこからかやってくる迷惑な虫がいる。虫の名称はカメムシ。いったい、どこから飛んでくるのか、と不思議なほど、マンション内で異常発生しており、一昨日はとうとう我が家のベランダの室外機のうえに一匹、発見した。さすがに看過できず、対策に乗り出すことにした。ネットの知識を総動員し、誕生したのがハッカスプレーなのだった。9月の終わりに戦いは幕を開けたのだった。

9月29日 朝

昨日の昼はひさしぶりにかっぱ寿司に行った。大阪ペイをもらっていたころはクーポン消化のためにしょっちゅう通っていたのだが、すっかり足が遠のいてしまった。かつてカッパ寿司は第三の選択肢だったのだけれど、いまでは最も利用する回転すしとなり、ということは回転すし自体、かなりごぶさたというか、直近でおぼているのは試験場前のくら寿司を利用して以来とおもう。スシローは例の事件が世の中を震撼とさせるまえから値上げによってすでに行くことはなくなっていたが、思えば、あの事件がダメ押しだった。アプリも消してしまった。頻繁ということはないが、くらは値上げ以降も、大阪ぺいがなくなって以降も使っていたが、くらよとうとう貴様もか、という感じで、平日うどんが200円になってから、近寄りがたい存在となってしまった。かっぱ寿司が個人的利用回数一位に躍り出た理由のひとつには魚べい茨木園田店が閉店したこともある。コロナ禍が追い風となり、圧倒的有利とおもわれた矢先の閉店だった。これこそが回転すしの進化系、未来の回転すしの方向性と信じて疑わなかった魚べいのまさかの離脱。回転しない回転すし。近隣ではかっぱ寿司東淀川店しかなくなってしまった。魚べいのお寿司を食べたければ寝屋川ま出向かなければならない。もっとも、回転する回転すしであっても、オーダー注文しかしないので、衛生面ではさほど影響を受けるわけでもないのだが、生ものが目の前を廻っているのといないのとではクリーンに取り組む姿勢と、それを受けるこちら側の感情に差異が生じるのだ。守口のくら寿司で一度、ごみ箱に捨てたハマチをまな板に載せ、調理するというバイトテロ動画が地域住民を騒然とさせたが、そのとき、なんといっていたか。店側の言い分はハマチはレーンに流していませんとか、客に提供していませんとか、そういったものだった。当然、信じられるわけがない。だって、動画が発覚したのはもっとあとではないですか。無論、廻らない回転すしであっても、同様のことが繰り広げられる可能性はある。なので、気分の問題に過ぎないのかもしれないが、廻らない回転すし店の存在がもっと広がっていってほしいものだなと切に願うのだった。

9月28日 朝

うねめ祭りの日。本日、奈良を訪れることはないが、近々、また奈良に行く。奈良の魅力はなんなのだろう。京都のように華やかではなく、大阪のようににぎやかでもない。街もこぢんまりとしている。三条通りを歩くと、なんでこんなに静かなのというぐらい京都との違いに気づく。観光客はひっきりなしに歩いているのだが、うるさくない。通りが水を打ったように静まり返っている。どうやらこれは車や交差点の発する音の少なさに起因するようだ。交差点のふぃー、ふぃー、と鳴り響く音や音楽が聞こえてこないのだ。そんな折、先日の日曜日、三条通りを猿沢池方面に歩いていると、キモいおっさんの集団が歩道を埋め尽くしていた。道路をはさんで反対側にアイドル風のユニットが踊っており、歌っていた。なんのイベントなのだろうか。一組だけでなく、何組も交代に出演しているようだった。外国人観光客も足を止め、興味深そうに眺めていた。音が小さく、いま何と呼ぶのか知らないが、昔のラジカセから流れてくるような店先のBGMのような趣があった。ひたすら写真を撮っている。近くではチェキも行われていた。みんなチビでブスだった。観光客のほうがよほど芸能人らしいというか、スラっとした体形で端正な顔つきをしている。欧米人とアジア人の違いというか、家畜人やぷーの気持ちがわかるというか、人種が違うといえばそれまでだが、もっと決定的に造形美が異なるのだった。猿沢池を一周して、また来た道を戻ったのだが、まだ、アイドルの歌と踊りは続いていた。近くの飲食店の入り口では女の子がギター片手にブルーハーツを歌っていた。てがかりになるのはー、うすいーつきあーかりー。そういえば、ずいぶん歌ってないなあとひさしぶりに刺激を受けた。ギターもほこりをかぶっている。弦を張り替えて、曲作りにはげもうと思う。