4月26日 朝

アゾフスタリ製鉄所の全容が明らかになるにつれ、さらにウクライナ軍を応援したい気持ちでいっぱいになった。東京ドーム235個分という地下シェルターにいまも2000人のウクライナ兵が潜伏しているといわれているが、これはまさに5分後の世界のアンダーグラウンドではないかと。親近感をおぼえたのはこの部分においてだった。一昔前のベストセラーであるこの作品を簡単に説明すると、5分進んだ世界ではいまだ第二次世界大戦が繰り広げられており、米国を主体とした連合軍によって日本は完全に支配されていた。北海道はロシア、四国がイギリス、九州がシナ、本州が米国といった具合で、日本国内にいた日本人は全滅した。唯一の日本人は海外で戦っていた26万人の将校たちで、これが日本に帰ってきて地下にもぐり抵抗を続けているという話。日本の歴史はトンネルの歴史です、と作中で物語るように旧日本兵、アンダーグラウンドの潜む地下要塞施設はアゾフスタリ製鉄所の地下シェルターをほうふつとさせるが、最大収容人員4000人と26万人が暮らすアンダーグラウンドではその規模が違う。居住空間は地下2300メートル。6層のアゾフスタリとは比べ物にならず、層は数えきれない。「アメリカはアンダーグラウンドに8回も核爆弾を投下しました、物理の常識が存在しない場所もあります」という部分から読み取れるように日本軍は民族の誇りを決して失ってはおらず、徹底抗戦のゲリラ戦をたった26万人で膨大かつ強大な連合軍相手に展開し続けている。最高司令官はコマンダーヤマグチ。日本軍のカリスマであり、世界中に影響力、特に中南米や中東のゲリラ部隊に尊敬されており、世界にその名をとどろかせている。5分前の実際の世界。連合軍に敗れ、ポツダム宣言を受け入れた日本は戦後復興の道を歩むことになる。民族の誇りはどこかへ消し飛び、子供は親のいうことを聞き、親は子供のいうことを聞く薄っぺらで軟弱な日本人が日本で暮らしている。日本の発言力は国際社会において限りなく影響ゼロかマイナスで、戦う意志すらもすでに放棄してしまっていた。アゾフスタリ製鉄所に立てこもるウクライナ兵がとる道はふたつある。投降して腑抜けになるか。誇りをかけて戦うか。朗報はある。もしかすると、援軍が期待できるかもしれないということだ。空から地下は見えない。俺たちの復讐は地下で弾けてる、とかつてモッズが歌っていたが、ロシア人にウクライナ人の心は見えない。ウクライナ人を拉致してロシア兵として戦わせる計画もあるらしいが、当然、武器を渡すのだろう。その銃口の向きに気をつけろよ。