1月13日 朝
そういえば紅白歌合戦をまったく観なかったなあという大晦日だった。いつもなら頻繁にチャンネルを変えて、たまに観たりするのだが、ただの一回も紅白にチャンネルを合わせることはなかった。誰が出ていたかも知らないし、興味もない。まあこれはだいたいいつも似た感想なのだが、まったく観なかったのははじめてかもしれない。やはり紅白といえば、年末の風物詩であるし、ちょっとぐらい観ておこうよという心理が大晦日の弛緩した酩酊の頭に働くものなのだけれど、しつこくいうがまったく観なかった。正月が明けて、何日か経った頃、近所の電気屋のテレビで紅白をやっていた。細川たかしさんが出ていた。いっそう鋭さを増す鋭角な頭頂を引っさげ、なにか歌っているのだが、不思議なもので年をまたいでしまうと、紅白感が薄まり、BS感になる。BS感な紅白を観て、ここで今回の初紅白視聴となった。大晦日はだいたい昼ごろから酒を呑んでいるので、夕暮れともなれば、そろそろ酔っ払っている。酔っ払いながら何をしているかというと、たぶん左の画面でテレビを観て、右画面でネットを観ていた。6時頃になると、年忘れニッポンの歌がはじまるので、大晦日を実感しつつ、しみじみとそろそろこの世を去りゆくようなひとたちの歌声を聴いた。一昔まえは紅白落選組の受け皿といわれたものだが、それも今は昔を実感するのは基本的に年忘れニッポンの歌が紅白化しているというか、紅白出場が最高みたいな建前が以前ほど機能していないように思える。このご時世、正直、ジャンルなど関係ない。演歌、歌謡曲、ロック、へなちょこ、サンバ、ドドンパ、なんでもよく、その曲を知っているか、とか、その歌手を知っているか、という風潮のようなものが大切で、それを見誤ってしまうと、SNSの盛り上がりが選挙結果に反映されなかったのはなぜ、みたいなアホな総括しかできないアホな連中がアホな疑問符を浮かべてしまうのだろう。その疑問符をぐちゃぐちゃにして丸めてしまえ。丸めた疑問符をふたつに分けるとあら不思議。紅白のお餅になりました。お餅を食らって舌鼓。その後は孤独のグルメを観ていた気がする。