6月5日 朝

はじめて手にしたギターは黒いストラトキャスターという歌詞ではじまる「ソーホワット」を完成させた。歌詞自体はめちゃめちゃ昔に書いたものだが、中途半端にコードがつけられており、中途半端に仕上がっていた。歌詞を読み直していて、懐かしい感情に魂がゆさぶられた。エレキギターを買ったのは12歳のときだった。アリアプロⅡのストラトで、38000円ぐらいしたとおもう。ストラトなのにハムバッカーが付いていて、最初に弾いたのは蝋人形の館だったといえば、当時を知る人なら察していただけるとおもう。黒いギターはどこに行ったのだろうか。その後の記憶がまるでない。18歳で家を出たとき、荷物はボストンバッグひとつだった。のちのち、テレキャスターとファイヤーバードを引き取ったが、そのときのこともよく覚えていない。ただ、テレキャスターは押し入れにあり、ファイヤーバードは今も鳴っている。歌詞のサビ部分は「本当に知りたいことはギターがはじき出した答え。本当に大切なものはノートに書き連ねた言葉」とあり、自分で書いたとはいえ、青臭くて、未熟すぎて、稚拙で、世間知らずで、くちばしの黄色いガキ過ぎて、我ながら最強だとおもう。「戻れぬレースに賭けをした。びくびくしながら走り出した」最高だとおもう。ストリートビーツに10代の衝動という曲があるのだけれど、曲の内容というよりはタイトルにいつも共感をおぼえる。ヒロト氏もいっていたが、あの感動をもう一度、味わいたい。ヒロト氏のマンフレッドマン。ヒカゲ氏のピストルズ。ヤザワ氏のビートルズ。自分の場合、何だったのか。これまた、自分の曲で想像するしかない。ドリーマーという曲のなかに中2の夏に出会ったという歌詞があるので、中2の夏に出会った一曲だとおもう。クラッシュか、ラフィンか、アナーキーか、ピストルズか。スターリンかもしれない。スタークラブかもしれない。モッズかもしれない。それ以前はメタルを聴いていた。もっと前は甲斐バンドを聴いていた。そういったバンドとは異なる衝撃を受けた。ヒロト氏が畳をかきむしったように、持っていたジーンズをすべてクラッシュジーンズにしたことはおぼえている。生活のすべてが一変した。キーワードはデストロイ。道行くやつらにファックオフ。髪の毛をブリーチし、スプレーで逆立てて、ついでに気分も逆立てて、頬に安全ピン。耳たぶにも安全ピン。ドクターマーチンは買えないから、近所のホームセンターで安全靴を買ってきて、みようみまねでシドチェーンもつくって、三色カラーのサポーターも腕につけた。ストラトがレスポールに変わった。ロックな毎日がはじまった。いまも続いている。
posted by せつな at 06:52Comment(0)日記