6月1日 朝
6月1日ということは今年も半分、過ぎたということになる。そのほとんどの日数が緊急事態宣言下ということもあり、イベントの記憶があまりない。紅白はどうだったか、正月番組はどうだったか、思い出せない。6月は祝日がない。雨が降ったり、雨が止んだりするうちに7月に入ることだろうが、それでは味気ないので、個人的な一大イベントを用意した。それは6月11日にやってくる。ナンバープレートは696と書いて、ロックンローと読む。ああ、楽しみだ。楽しみといえば、昨日は酒を飲みながらずっとニューヨーク恋物語を観ていた。田村氏はこのドラマの主人公、田島雅之役を気に入っていたというが、改めて見直すと、意外に深みのある役どころということがわかった。役作りで日焼けしているのだけれど、その精悍な雰囲気がそれまでの氏の演じてきた主人公とは異なり、ミステリアスで怪しげな空気を醸し出している。まとわりついているという感じか。ドラマは1988年のニューヨークが舞台であり、まさにこのころのニューヨークに恋したひとりとして、うすぼんやりとした高層ビル群やワスプ中心のブロンドブルーアイズに交じって黒人、アジア人が躍動する姿を見ると、胸に迫るものがある。当時のニューヨークを舞台にした映画はそれこそ星の数ほど観たが、それはそれはロマンチックで退廃的で蠱惑的。セックスドラッグス&ロックンロールを地でいく魅力にあふれる映画ばかりだった。トムクルーズのカクテルなどは象徴的かもしれない。出演者の誰かが鼻血を流すシーンはレスザンゼロに通ずるニューヨークの掟みたいなところもあった。ニューヨーク恋物語は1990年に続編が制作されているが、こちらはまったくの別ストーリーであり、田村正和氏の演じる主人公も田島ではなく、戸上英輔という人物に変わっている。なので、こちらは無視。注目は2004年の新ニューヨーク恋物語で、1988年版の16年後を描いた作品となっている。主人公、田島雅之のほか、当時のメンバーが何人か同じ名前で登場する。ハリウッド映画で育った人間、もっといえばアメリカンニューシネマに影響を受けて、ずっと恍惚しっぱなしの人間にとって、ニューヨークという町はぞくぞくと肌を震わせる独特の味わいがいまなおある。ニューヨークの24時間という本にしろ、その後の人格の形成に強くかかわったという点では、ニューヨーク自体に価値があったのだと思い起こすことができる。ちなみに行ったことはない。