12月20日 朝
今年の冬至は22日だ。夜がもっとも深まる日、冬至が近づくと読みたくなる漫画がある。大東京ビンボー生活マニュアルの神さまラーメンの回。屋台の神さまラーメンは夜がすべてという商売なので、年に一度、夜への感謝祭と称して冬至の日にスペシャルラーメンをふるまう。激辛超大盛のラーメンを残さず平らげると極楽行き。残すと地獄行き。主人公コースケくんは今年も成功。受験生は失敗。長引く浪人地獄。屋台のラーメンという絶滅寸前、もしかしたら絶滅したのかもしれない昭和な風景がこころに響くひとこまだ。冬至が夜のもっとも深まる日であるならば、これを人生に置き換えると60歳がその日となる。なっていた。今までは。60歳を定年とし、あとは優雅な年金暮らし。サラリーマンはこの日を人生の起点と定め、がむしゃらに働き酒を呑み一家を日本を支え続けた。その結果、日本経済は頂点を極め、世界でも有数の金持ち国家になることができた。昭和の残像というやつだ。政府が15日に発表した高年齢者雇用安定法改正案を紐解くと、もはやその残像も思い出でしかないことに気づかされる。15歳から64歳までのいわゆる生産年齢人口。総人口に占めるその割合いが2018年度では59.7パーセントとなり、統計を取り始めた1950年以来、最低となった。前年比で51万2000人減った。30年後にはさらに減る。極端に減る。どれぐらい減るかというと3000万人ぐらい減る。このまま俯瞰していてもはじまらない。というわけで、定年は60歳から70歳まで引き上げられることになった。努力義務と称して企業に丸投げするようだけれど、細かくみてみると、その中身は7項目にわたっている。65歳までは希望者全員の雇用義務が課されていて、企業の選択肢としては現行法通り①定年延長②定年廃止③契約社員などでの再雇用。70歳までは努力義務で、ここからが今回の法改正の骨格となる④他企業への再就職支援⑤フリーランスで働くための資金提供➅起業支援⑦NPO活動などへの資金提供。以上の四つが追加される。就労機会を増やすとかなんだかんだいっているが、要は年金制度が破綻したということで、もう、いつクーデターが起こってもおかしくない状況にまできているのが今の日本だ。メキシコのニュースを見ていると、他国のできごととはいえ、末恐ろしくかんじる。冬至の日は今後も引き上げられる。本当の冬至はこの日を境にまた若返るのだけれど。