8月3日 朝
組み合わせ抽選会の日だ。何の?甲子園の。見つけたぞ。何を?永遠を。それは太陽に溶ける海だ。そう、太陽に溶ける季節がやってきた。第101回全国高校野球選手権大会が今月6日に開幕するにあたって、その組み合わせ抽選会を本日午後、大阪フェスティバルホールにて行う。どきどきの一瞬だ。わくわくの瞬間だ。ぴりぴりのモーメントだ。ときめきの刹那だ。どうか履正社と当たりませんように。いや、弱小校は履正社と当たり、注目を浴びたいかもしれない。自分の実力がどこまで通用するか試したいかもしれない。強豪校。それは憧れとともに克服の対象でもある。抽選は1回戦17試合と2回戦7試合を決め、この表に基づき3回戦までを戦う。ルールとしては北と南北海道、東と西東京が初戦で対戦しないようにする。3回戦以降は勝利チームが抽選で次戦相手を決める。開会式の選手宣誓も今日、決まる。全国の高校球児たちが見守るなか、各チームの主将が抽選箱に手をつっこむ。引き上げた紙切れにすべてがたくされている。思い出深いのはかつて初戦でPL学園を引き当てた某校のキャプテンだった。はにかみながら、チームメイトのほうを向き、なんとも複雑な表情をしてみせた。試合結果はもちろんぼろ負けに終わったと記憶しているが、その試合最中も思い起こすのは抽選会の風景だった。決まったからにはしょうがない。全力でぶつかるだけ。ぶつかった結果、砂をかき集め、地面に涙を落とす。そのときも抽選会のあの顔がふいに脳裏をよぎった。人生もこんな感じだよな。こんな感じの連続で織りなされていく――そんなことを想っていた。今大会も全試合テレビ観戦するつもりだ。できれば何度かは甲子園に出向きたいが、まあそれは体力と気力による。たしかに炎天下のかちわり焼酎も捨てがたい。しかし、好みは冷房の効いた部屋でのウーロン割りだ。ブコウスキー風にいえば「シェードを下した冷房の部屋でマーラーを聴きながらコールドターキーを流しこむ」といった風情を楽しみにしている。夏だ。甲子園の季節だ。今朝も蝉しぐれで幕を開けた。本日、午後、組み合わせが決まる。