11月5日 朝

起きたら8時だった。ひさしぶりにぐっすり眠った。睡眠ほど重要なものはない。そう認識していながら短時間しか眠れず次の日を過ごすことがある。そんな日はたいてい大量のカフェインを用いて乗り切るが、目の奥の痛みにカフェインほどよく効くものをほかに知らない。さて、昨日の発見としては生のホタテと白ワインは最低の組み合わせというもので、これはカズノコと合わせて以来の頓悟となる。しかし、なぜカキは合うのだろうか。少しも生臭くかんじない。無論、日本酒との協調には及びもしないが、冷えた白ワインとカキはいつも至福の時間をくれる。火を通したカキはそのままでワインと合わせる。生ガキとワインを合わせるには少し工夫がいる。キンキンに冷やしたワインとカキ。カキにたっぷりとレモンを絞る。そうすることでカキのグリコーゲンがクエン酸の冷旨系有機酸と結合し白ワインのリンゴ酸と仲良しになる。絶妙なマリアージュ、秀逸なハーモニー、堪能なコンコルドを成し、舌先で飛び立つ。逆に火を通したカキには赤ワインがよく合う。カキフライにソースをかけると赤。タルタルなら白。ああ、いい季節がやってきた。元来、カキに含まれる乳酸、コハク酸、グルコン酸は温旨系有機酸と呼ばれ、実は赤ワインと相性がいい。味付けは醤油、みそ、バターでソテーなどもいいし、ほんの数滴、黒酢をかけてもいい。ああ、いい季節がやってきた。一度、バルザックに見倣ってどれぐらいカキを食べることができるかチャレンジしたことがある。業務用の胡麻油などで用いる一斗缶のカキを買ってきて試した。結果はおぼえていない。食べ潰れるまでに酔いつぶれたからだ。バルザックは一度に180個食べたというが、カキは亜鉛の宝庫なので翌日は大変だったかもしれない。普段は赤ワインしか飲まないが、カキをいただく日は俄然、白だ。今まで呑んだ白ワインのなかでもっともおいしかったのはコンビニで買ったリースリングのカリフォルニアワインだった。その日の体調もあったのだろうが、あのときの感動をたまに思い出す。いつしか赤贔屓に変わった。サイゼリアのせいだろう。ああ、おいしかった。
posted by せつな at 08:41Comment(0)日記