10月27日 朝
土曜の夜と日曜の朝という作品がある。パンクス必読の作家として名高いシリトーの小説だ。現代風にいえば金曜の夜と土曜の朝のほうがしっくりくるかもしれないが、とにかくこういった淡い感覚が好きだ。金曜の夜がいつしか土曜の朝と化している。そのはざまでひとはさまざまな感情を駆使し時間を過ごす。いつから夜は朝に変わるのか。夜を引きずっているガキどもが肩をぶつけ合い街中を闊歩するなか、老人たちもまた朝の散歩を楽しんでいる。有象無象、玉石混淆。雑多でつたない景色を彩るトラックの群れを横目に信号待ちするメンヘラ気味の女がいる。何気なく視線をそそぐ。突然、女が一歩、踏み出した。止める間はなかった。いともたやすくトラックの群れが飲み込む。その瞬間、夜が終わった。朝陽に照らされた路上の一日がまたはじまったのだ。